第7話 過去との別れ

海辺の家でソンジュは、隣に座るチスをそっと抱きしめる。
何故チスがチョンソではないのか…
彼女がチョンソであったら…と切ない思いで涙を流す。

チスが外に出ると海辺の家を訪れにやって来たチョンソの父ハン教授と出会う。
ハンはチスを見て余りに亡き娘チョンソの容姿に似ている事に驚く。
ハンはチスの顔に手を当て触れ別人だと聞かさると号泣してしまう。

半ば強引に連れて来られチスだったが、ソンジュやハンの姿を見て自分がチョンソだったら…と思い始める。
そして同時に自分が失った過去を取り戻したいと思い始めた。

ハンはチスに会った事を妻ミラに報告して、もう一度キチンと確かめたいと話す。

一方、チョルスはチスとソンジュが一緒に出掛けた所を目撃して不安になっていた。
「ソンジュにチスを奪われるのでは…」
そんな不安に駆られて家に帰って来たチスを責め立てる。

「自分が誰だか知りたくて…
心がソンジュさんに向いて自分の過去を取り戻したいだけなの!!」

チスは泣きながらチョルスに思いを伝える。

「自分の過去ではなくソンジュが気になるんだろう!?
誰も知らない土地に行って、やり直そう」

チョルスはチスを責めて迫った。
チスは苦しみ涙するチョルスを見て謝った。

「私が不安にさせたのね…
自分の過去を知りたがるのはもう止めるわ。
壁画が完成したら、会社も辞めてチョルスさんに付いて行くわ」

チスはチョルスと生きる事を約束した。

後日、ソンジュの誕生日を祝う為にハン教授宅で夕食会が催される事になった。
ソンジュは出席する事を断る。
誕生日会を機にユリとの婚約を進めたい母ミン会長は必ず出席するように命じた。
ユリとの婚約などする気のないソンジュはチャン理事を迎えに出させてチスをホテルのスイートルームに呼び出した。

チスはソンジュの切ない気持ちに去る事が出来ず、ソンジュのチョンソに対する愛情の深さを知った。

ケーキにキャンドルを灯しながらソンジュは言う。

「僕がキャンドルを吹き消すまでは帰っちゃ駄目ですよ」

ソンジュは言いながら得意の手品を見せて、はにかんだ。

「笑うトコなんだけどな…」

そしてソンジュはチスにプレゼントの指輪を渡した。

「社長の誕生日なのに何故、私が?」

「してあげたい事が沢山あったんです。
今なら何でも叶えてあげられるのに…
その女性(ヒト)は側にいない。
してあげられなかった事を一つ…また一つ…
心の中に貯めて行きました。
もう心が重たくなり過ぎて辛いんです。
どうかしてると思う?
どうにかなりそうなんです!!
死んでしまいたい位だ!!
僕はどうしたらいい!?
どうにかして下さい!!
一緒にチョンソの家に行って家族に会いましょう。
チョンソが居た場所に行って確かめましょう!!」

ソンジュはどうしてもチスがチョンソだという思いを断ち切れずにいた。
そして今までの自分の抑え切れなかった思いをチスに打ち明けた。

「そこが私の居場所じゃなかったら?
諦めてくれますか?
私がしてあげられる事はそれだけです」

チスはソンジュの思いの深さを知り同行する事を承知する。
そしてソンジュはチスをハン教授宅に連れて行き家族に会わせる事にした。

一方チョルスはチスが行方不明で連絡が取れずに苛立っていた。
その時、チスから電話が入りハン教授の家へ行く事を知らされてチョルスは動揺しながら止める。

「絶対に行くな」

だがソンジュが電話を代わり言い放つ。

「あなたも来て頂いて構いません」

動揺したチョルスは先回りしてハン教授の家の前で待ち到着したチスを引き止める。

「私にそっくりなチョンソさんの家族を見てみたくなったの。
自分の心の迷いを吹っ切る為に行くだけで必ず戻るから。
これで違う事がハッキリするわ」

チスはチョルスに約束した。

「家から出て来た時、俺を嫌いになったらそのまま背を向けて去ってくれ。
同情はいらない」

チョルスはとチスに告げた。

「チョルスさん。
心配なら、一緒に来れば良い。
僕も聞きたい事があるし」

ソンジュはチョルスを窘めた。

2人が家に入り家族と対面するとミラはチスを見てわざとらしく取り乱して倒れる。
そしてミン会長もチョンソにそっくりのチスを見て動揺する。

「私と婚約するのが嫌だからチスさんを連れて来たのね!」

ユリはソンジュを責め立てた。

ソンジュはチスに何か思い出せる物はないかと屋根裏部屋に連れて行き、過去のアルバムをチスに見せながら思い出を語るがチスが何かを思い出す事はなかった。

そんなチスを見てソンジュは切なげに言う。

「本当にチョンソじゃないの…?」

「ごめんなさい…」

「もう諦めなきゃな…
最後のプレゼント…」

ソンジュは淋し気に呟くとチスの額に優しくキスをして送り出した。

チスがハン教授の自宅を出るとチョルスが待っていた。

「私の事好き?
やっぱり、私の居場所はチョルスさんの側!」

チョルスは照れながら、チスに指輪を渡した。

「私からはあげない。
壁画が完成したら、あげるわ。
もう吹っ切れたから、今日から再出発よ!!」

チスは[愛の証]のペンダントを首から外すと河川敷に投げ捨てた…。




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