第2話 ソンジュの旅立ち

チョンソはミラとユリからの虐めもソンジュと一緒に留学するまでの辛抱だと思って日々、耐え続けていたが、ミラの入れ知恵で父ハンから留学を無期延期にされてしまう。

ロッテワ−ルドのメリ−ゴ−ランドの前に座って落ち込むチョンソはソンジュに不安な気持ちを打ち明けた。

「ソンジュお兄ちゃんが留学に行ってしまったら…もう戻って来ない…」

「チョンソが居なくなりそうで心配だ…」

ソンジュも素直に自分の不安な気持ちを伝えた。

「居なくなってたらどうする?」

「勿論、見つかるまで捜すさ!」

「捜しても居なかったら?」

「必ず会える!思い合ってる2人は必ず出会えるんだ!」

「どんなに遠く離れ離れになっても最後にはきっと会えるのよね…」

「僕が居なくても大丈夫か?
ちゃんと笑顔でいられるか?」


チョンソはソンジュの優しさに涙が溢れて言葉が出ない。

ソンジュはコ−トを2人の頭の上から被ってチョンソに約束する。

「チョンソ、僕が戻って来たら、この場所に家を借りて君にプレゼントするよ。
悲しみも別れも苦しみもない世界…天国を…」


二人でメリーゴーランドに乗って、天国に昇ろうと言う再会の夢を抱いてソンジュはチョンソに約束した。

ソンジュの留学旅立ちの日、チョンソは見送りに行く前にカセットレコ−ダを探していたが見当たらない為にユリに聞いてみた。

「邪魔だから他の荷物と一緒に物置部屋に入れたわ」

チョンソが物置部屋に入るとユリは、ソンジュの見送りには行かせまいとして入口の鍵を掛けて軟禁してしまう。

「ユリ開けて!開けてよ!!」

チョンソは必死に叫ぶがユリはミラと2人で見送りに出向いて行った。

閉じ込められたチョンソは見つけたカセットレコ−ダ−を再生してみた。
『海辺の家』から引越しする時にソンジュがカモメの鳴き声をマネをしてくれた声が流れて来た。

そして無声部分の後に突然、ソンジュの声が録音されていた。
それは以前、ソンジュがチョンソの部屋を尋ねた時に録音されたものだった。

「チョンソ…子供だから上手く言えないけど…
これが愛なのかな?って…好きだ」


チョンソは間もなく旅立ってしまうソンジュの気持ちを知って、見送りにも行けず会えないまま別れてしまう寂しさが涙に変わった。

空港に着いたソンジュはチョンソが来てない事をミラに尋ねるとミラは平然と答えた。

「本当にどうしたのかしら… 家を出てる頃かと… ユリ家に電話してみなさい」

「いえ、自分で掛けます」

ソンジュが自宅に電話を掛けても誰も出る事はなく落胆するばかりだった。

チョンソも閉じ込められて諦め掛けていたが偶然、物置部屋の前を通ったテファが物音に気付いて鍵を開けてくれた。
そしてチョンソは急いでタクシ−に乗ると空港へと駆け付けた。
しかし既にソンジュは搭乗ゲートに入った後だった。

落胆するチョンソを遠目で見ていたユリが不適に笑って、寂しく立ち尽くすチョンソの目の前の搭乗ゲートが再び開くとソンジュが笑顔で立っていた。

チョンソの到着を願って、ソンジュが搭乗ゲートに戻って来た事で2人は別れの時を過ごす事が出来た。

短い時間だったが2人はお互いの想いを確認し合う。

「私も好き…」

お互いの魂を分け合う様に【愛の証】のネックレスを首に掛け合った。
そして、ソンジュはチョンソの手を振って笑顔を残して旅立って行った。

この日からミラは自分の果たせなかった夢をユリに託す事にして益々チョンソに辛く当る。

チョンソはテファに鍵を開けてくれた御礼に亡き母の愛用していた画集を貸してあげる。
しかしテファは新しい家族にも馴染めずにチョンソに対しても無関心であった。

ソンジュが旅立って一ヶ月が経つ中、チョンソは毎日ポストを覗いていた。
遠く離れていても心を繋ぎ合わすソンジュからの手紙を心待ちにしていた。

しかしソンジュからの手紙は届かずに不安な日々を送る…。

2人に嫉妬したユリが届いた手紙を全て勝手に読みあさり、ユリは自分一人でソンジュに返事を出していた。

ユリの虐めは続き家の中でも孤立無縁のように思えたチョンソに意外な味方が現れる。
それがテファだった。

テファは自分に見向きもせず、蔑ろにして来た母ミラに反抗し憎しみを抱いていたが父ピルスには親の愛情を感じ持っていた。

そんな不器用なピルスがテファの誕生日祝いにシュ−ズを買って来て照れ臭そうに家の前でプレゼントした。

「世間体が悪いわ!まったく父親も息子も似た者同士だわ!」

ミラはテファを攻め立て2人は掴み合いの喧嘩になる。
反抗するテファに突き飛ばされた拍子にミラはハンの大事にしていた壷を割ってしまう。
そこへ帰宅したハンと居合わせていたチョンソを前にミラは平然と嘘を言う。

「チョンソが割ってしまったのよ」

チョンソはミラの仕打ちを恐れて何も言えないでいた。

「俺が割った」

テファがチョンソをかばってくれた。

しかし、ミラはテファの発言態度事が気に入らない。
夜になってテファを薄暗い屋根裏部屋に閉じ込めて暖房の電源を落としてワザと寒くした。

チョンソはテファの誕生日祝いに手作りのワカメス−プを差し入れる。
そしてマフラーをテファの首に巻いてあげた。

「カッコイイ!!ゆっくり食べて。
お兄ちゃん!誕生日おめでとう!」


生まれて初めて誕生日を祝ってくれたのがチョンソだった。
テファはチョンソが部屋を出て行った後で作ってくれた食事を泣きながら食べた。

この一件でテファは自分の絵の才能も認めてくれて性格の優しく可愛らしいチョンソに思いを募らせていく…。

「明日、写生大会がある。
お前が絵の具を持って来てくれれば俺は絵を描く!
お前も俺を好いてくれているものだと思う」


テファから突然、告白されてチョンソは困惑する。
チョンソが愛しているのは後にも先にもソンジュ一人だけでテファの事は兄としてしか考えられなかった。
しかし心の優しいチョンソはテファの絵の才能を思って絵の具を届けるかどうか迷い悩んでしまう。

一方、ユリは何とかしてソンジュとチョンソの仲を裂いてソンジュに自分の事を愛して貰うべき新たな策略を練っていた…。




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